後ろに控えているたちの部隊と
久しぶりに触れると
そして、初めて立つ戦場が・・・・・・・
――――私に彼を忘れさせていた・・・・・・・・・・。
(シードっ・・・。)
目に入った人物の名を心の中で呼ぶ。
しかし今視界に入っているのは一つの色だけだった。
真っ青な―――――まるで今日の空のような色。
それが風で大きく揺れた。
はマントがはためく音に我に返る。
「フリック・・・。」
「、俺達は弓部隊だ。そこまで前線に出る必要は無い。
お前は突き進んできてこぼれた王国兵を食い止めればいい。いいな。」
フリックはに背中を見せたまま強い口調で話しかけた。
も自分の役目を再度確認し、激しく反応していた心臓を沈める。
「・・・はいっ。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
それ以上フリックは何も言わなかった。
ただ、前線でぶつかっているビクトールの様子を見ながら、冷静に自部隊を動かしている。
だが、いつもよりも彼の表情が険しく見えるのは・・・・戦いの最中だからだろうか・・・・。
ふと先ほど自分の目に飛びこんできた赤を思い出す。
(まさか・・・あの森で会った時、シードの存在に気付いた・・・・?)
少しばかり離れて指揮をとっているフリックの様子を見る。
(だとしたら、私を完璧にハイランドの人間だと思うはずだわ。
流石にシードと顔見知りと思われれば、何か言ってくるはず・・・・・。)
しかし今までのフリックの様子を見ていても、そのような気配は無かった。
ビクトールも全く気付いていないようだった・・・。
やはり自分の気のせいか・・・・?
そう思った矢先、王国軍の方向から若い男の声が響いてきた。
「またあの男!ビクトールか!!今度こそケリをつけてやる!!」
(第四軍軍団長の・・ソロン・ジー。)
彼とは直接会話を交わしたことは無いが、素性は大体知っていた。
貴族出身と聞いただけでもにとっては少し苦手な存在だったが、
まだ若さゆえの指揮が不安定で、どこか冷静に観察できる単純な男だった。
(国を想う気持ちは・・・シードやクルガン様と一緒なのかしら・・・・。)
そんな事をふと思いながら、何故かその赤を探してしまう自分がいた。
嫌になる。
こんな自分・・・・・。
「焦るな!俺達は足止めさえすればいい!!」
先の部隊からビクトールの冷静ながらもどこか熱を持った声が響いた。
足止め。とは言ってもやはり数では王国軍には敵わない。
少しずつではあるが、徐々にこちらが押されているのが分かった。
「、これだけ王国軍が近づいてくれば、直接攻撃してくる敵も増えるはずだ。
油断するなよ。」
「わかったわ。」
心の中に潜む人物を奥に潜め、辺りに神経を集中させる。
(大丈夫・・、あの黒い気配もしない。)
追っ手らしき人物の怪しい気配も今は感じられない。
これで戦いに集中できる。そう思っていたとき、フリックが遠くを睨みつけ呟いた。
「ギルバート・・・。」
その呟きを向けた方向へとも目をやると、王国兵とは少し雰囲気の違う一人の男がいた。
その男が率いる部隊も、周りにいる王国軍とは少し違う様子だった。
恐らくあの部隊も傭兵隊か何かなのだろう。
「あいつが王国軍に手を貸しているとはな。」
「フリック、知り合い?」
「ああ。昔ちょっとな・・・・。」
ずっとその男を見据えるフリックに、アップルもそのギルバートという男を見つめながら話しかけてきた。
「知り合いなの?なんとか・・味方に出来れば・・・・・。」
「確かに、戦力になるわね。」
もギルバートの部隊を見つめ、その数を想定する。
(大体1千はいるわ。アップルさんの言うように味方にできれば・・・・・。)
がフリックへと視線を戻そうとしたとき、既にフリックは馬の手綱を引いていた。
そしてそれに従い馬が勢いよく地を蹴り前進していった。
その様子をは笑みを浮かべながら見送る。
(どうやら・・・味方に出来そうね。)
「アップルさん、私はフリックのフォローに入ります。」
「ええ。分かったわ。」
部隊を少しの間だけアップルに任せ、も馬を走らせた。
少しでも前へ行くと、王国兵と傭兵達が激しくぶつかり合っていた。
は先を走っていたフリックと馬を並べ、フォローへと入る。
「!!?」
「一人じゃ危険よ!フォローするから、このまま前へ走って!!」
そう叫びながら、驚きそして何か反論しようとしてくるフリックを無視し
向かってくる王国兵をなぎ払った。
戦場というプレッシャーに負けていないを見て少しは安心したのか、
フリックもふっと少しだけ笑みを漏らし、スピードを上げて馬を走らせた。
その時、森の方から凛とした威勢の良い声が響いた。
「我はマチルダの青騎士団団長マイクロトフ!ミューズ市のビクトール殿に加勢いたす!!」
(マチルダ騎士団!)
ようやく来たマチルダ騎士団の部隊に、も喜びを隠せない。
ただ、赤騎士の部隊の姿が無いのが少しだけ気になった。
「ギルバート!!!」
そしてギルバート率いる部隊へとたどり着き、フリックが目指すのはその男だけ。
これから仲間に入れるつもりだというのに、フリックの振りかざした剣は容赦の無い早さだった。
「っく!」
ギルバートも予測していなかったのか、間一髪でその剣を受け止める。
「お前が王国軍に加勢しているとはな!!」
「フリックか・・・。」
交えていた剣をお互いが弾き、下から切りつけるフリックをギルバートが再度弾きカウンターで返す。
そしてまた剣を交えフリックが叫ぶ。
「村々を焼き払い、女子共を殺すような・・・お前はそんな男じゃなかったはずだ!!」
「ぬかせ・・・。」
剣と剣がぶつかり合い、火花が散った。
もその二人の様子を伺いながら、こちらへ攻撃してくる敵を軽やかにかわし、倒せる者は倒していった。
「はぁ・・はぁっ・・・。」
(想像以上に数が多い・・・・!)
倒しても倒してもキリのない敵の数に、少し眩暈を覚えながらも身体は止まることはない。
止まるとすれば、それは命が散った時のみだ。
―――――生きている限り・・・・諦めるわけにはいかない・・・・・・・!
「グっ・・・!」
「・・・!?」
戦っていた後ろで倒された王国兵が馬から落ち、自分へと崩れてきた。
(くっ!避けきれない!)
右手で前の敵と剣を交えながら、後ろを見つめる。
上手く馬を操れないまま、降って来る影に思わず瞳を閉じた。
(・・・だめっ・・・・!!)
―――――その瞬間・・・・・・・
信じられないくらいの強さで腕を引かれた。
「シー・・・・!!?」
「おいおい。こんな前まで来たらマズイだろーが。」
「ビクトール!!」
「なんだ?助けたのが俺で不満って顔だな。」
そうの腕を引いたビクトールは戦いの最中にも関わらず、大きな声で笑っていた。
「そ・・・そういうわけじゃないわよっ。ただ、驚いて・・・・・・・。」
「あぁ、悪い。ただお前を死なせるわけにはいかないからよ。」
そう言いながら手を離したビクトールは、ニッと笑った。
その瞬間、の両側にいた人物は二人ともバタバタと音を立てて倒れた。
倒れた二人を驚きながら見つめ、再度ビクトールへと目をやった。
相変わらず笑っているその男に、は思わず尊敬の言葉を発した。
「本当に強いのね・・。」
そう。ビクトールは先ほどの一瞬で、倒れてくる王国兵を払い、攻撃してくる敵をも倒したのだ。
ほんの一瞬で・・・・・。
「はっはっは!今更気付いたのか?」
そう笑って前線へと戻ったビクトールに感謝を思いながらも、未だに驚きを隠せないでいた。
(だてに場数は踏んでないって以前聞いたけど、どれだけの場数なのかしら・・・。)
そんな事を考えている間に、後ろの方で何か起きたようだ。
は辺りに油断しないよう後ろの様子を伺った。
「な!!」
そしてその信じられない光景に、は瞳を大きく見開いた。
その目の中に広がった光景とは、先ほど加勢したと思われたマチルダ騎士団が後退を始めたものだった。
「どうして・・・・。」
その中に、先ほどはいないと思われた赤騎士の姿も見受けられた。
青騎士と何かを言い争った様子で、二人は顔を顰めたままそこから去って行った。
(マチルダ騎士団・・確か全ての指揮はゴルドーが取っているはず。
丘上会議で一番軍を集結させることを渋っていたわね・・・。)
何か裏があるのだろうか・・・・・・。
そんな事をふと思いながらも、今はただ向かってくる敵と戦うしかなかった。
それでも絶望的な光景を見た直後、の耳に希望の声が響いた。
「今から我がギルバート傭兵隊は、ミューズのビクトール傭兵隊へと加勢する!!」
今からと剣を交えようとしていたギルバートの傭兵達は、少し戸惑いを見せたようだったが、
すぐに気持ちをまとめたのか、素早く王国兵へと向かっていった。
「フリック!」
は思わずフリックへと馬を寄せる。
「ああ。少し頭の堅いやつだが、味方にすれば大きな力になる。」
「流石は青雷のフリックさんね。」
が明るい口調でその名を口に出すと、フリックは呆れながら目を細めた。
「お前なぁ・・・・。」
フリックがその続きを口にしようとした時、ソロンの声が辺りに聞こえてきた。
「ギルバート!貴様!!」
そして王国軍の体勢が整えられないまま、傭兵隊が少し押す形となった。
「ちっ!今日は挨拶代わりだ!!明日には貴様らの首を城門に並べてくれる!!」
「やれるものならやってみやがれ!」
吐き捨てるように叫び去っていく王国軍に向かってビクトールが唾を飛ばし、剣を空へとかざした。
それを合図かのように、周りの傭兵達が喜び、叫び合う。
を使わずに済んだという事と、シードに会わずに済んだ事と・・・・・・・・・・・、
そして想像以上に早く閉じた幕には思わず深い安堵の息を吐き出した。
静かに寄り添うように、フリックが馬を寄せてきた。
「よくやったな。助かった。」
そう言っての頭にその大きな手を置いた。
手袋を取り、直に感じるその体温は、目の前の相手が生きているという実感を沸かせてくれる。
ははにかむように笑顔を向け、そしてすかさず馬を降りた。
「どうしたんだ?」
「怪我人の手当てに行ってくるわ。折角フリックがたくさん薬草渡してくれたんだもの。」
フリックは少し驚いたようだったが、すぐに口の端を上げ
「俺も行こう。」
そう言って一緒に怪我人を運び出し、手当てを手伝ってくれた。
手当てが大半終わり、丸一日がかりでようやく全員がミューズへと戻った。
はいち早くとジョウイ達の安否をその目で確かめたいと思い、
フリックの部隊の中で誰よりも先に宿へと走った。
そして誰が、彼女があれだけの勢いで扉を開けることを想像しただろう・・・・
というくらいの勢いでは扉を開けた。
「さん!」
「おー、早かったな。」
そこには丁度休もうとしていたとジョウイにピリカ。
そしてビクトールがいた。
「あ・・・・・・よかった・・・。」
帰ってきたという挨拶よりも、まず出た言葉がそれだった。
一気に安心したためか、おぼつかない足でふらふらと彼等に近づく。
「大丈夫ですかっ?」
すかさずが腕を掴み、支えてくれた。
「ありがとう・・・大丈夫よ。安心して一気に力が抜けただけ。」
そう言ってにっこりと笑うに、も戦いが一時終わったという嬉しさのためか、
安堵の笑みを向けてくれた。
そして自分の遥か下の視線から見上げる小さな瞳と瞳がぶつかった。
いつもそうしているように、しゃがみ込んでその少女と同じ視線に立つ。
「ピリカちゃん・・・。」
ピリカはの身体を気遣うように、そっと触れてきた。
「大丈夫・・怪我はないわ・・・・。」
そう言うと、ほっとしたように、少し少女らしくない笑みをこぼした。
「ジョウイが無事で・・・皆無事で・・・良かったね。」
その栗色の髪を撫でながら言うと、その言葉には彼女らしい笑みで・・・、満面の笑みで応えてくれた。
もつられるように目を細くする。
「ジョウイ・・。よかった・・・・。」
ピリカと同じ位置から、昨夜話をした少年へと視線を向ける。
しかし彼は口元は笑っているが、目の奥は何故か不思議な色へと変化していた。
あの雨の日のような・・・・・・。
―――――それ以上の・・・・・・・・・。
その静かな空気の中に、扉を開ける大きな音が全員の耳に響いた。
「さん!!!!」
「ナナミちゃん。」
とジョウイの安否を確認した後、怪我人の手当てに出かけていたナナミだった。
ナナミはの顔を見るなり、勢いよく飛びついてきた。
「・・・わっ!」
「無事だったんだね!!よかったぁーー!!
怪我はない!?駄目だよさん、女の人が傷作っちゃだめだよ!!??」
誰も説明を挟めないくらいの勢いでナナミは口を開き、の身体を触りまくって怪我を確認していた。
「大丈夫よ、ナナミちゃん。怪我は全然ないから。」
その言葉を聞き、ナナミの手がぴたりと止まる。
「ホント!?よかった〜〜!!たくさん怪我した人がいてね、それですごい心配してたの!!」
そういいながら、再度の身体に思い切り抱きつくナナミ。
その容赦のない力を嬉しくも苦しくも感じながら、は苦笑・・・を交えた笑みを浮かべる。
「ほらナナミ、みんな疲れてるんだし、そろそろ休まないと。」
がナナミの肩を叩きながら終わることのないその状況に、助け舟を出した。
「あ!!そうだね!ごめんねさんっ。ゆっくり休んでね!!
さ、もジョウイも、さんの邪魔にならないように早く部屋へ行くのよっ!
ピリカちゃんいらっしゃいっ。」
ずんずんと二階へ進んでいくナナミに、ピリカがジョウイと手を繋いで二階へ登る。
もビクトールとに一礼をしてから三人の後を追っていった。
はピリカの視線の位置のまま、彼等をじっと見つめていた。
そんなに、ビクトールが話しかける。
「どうした。何か気になる事でもあるのか?」
「あ・・・うん、ジョウイが・・・―――。」
「ジョウイ?」
「う、ううんっ。何でもないわ。」
は、はっと顔を上げ立ち上がった。
そして未だに少し納得していないようなビクトールに、
「大丈夫!」
とはっきり告げ、いつもの席へと座った。
ビクトールは頭を軽くかきながらの向かいへと座り、
の瞳をじっと見つめてくる。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
いつもと明らかに違うその男に、少しどきりとしながらも瞳を逸らさぬようも見つめる。
そしてその気迫に少し負けそうになった時、ビクトールが先に動いた。
「。」
「・・・・・何?」
「酒。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「酒だ。今日は飲むぞ!」
「・・・・・・・・・・・・・・は、はい。」
そうしてフリックがようやく宿に足を踏み入れたとき、
そこには既に出来上がった二人がいた。
「・・・・・・おい。」
扉を開けた瞬間項垂れたフリックを見て、誰もが少しだけ彼に同情した。
「あっ、おかえりフリック〜〜!」
そう言いながら迎えたのは、いつになく酔っているだった。
「おい、。飲みすぎるなっていつも言ってるだろう。
それにコイツと二人で飲むな。」
コイツ。と言いながら、不機嫌なフリックは上機嫌のビクトールを指でさした。
「えー?なんで?ビクトールすごいんだよ!」
「そうだぞフリック!こいつが危なかったのを助けたのは俺だぜっ?」
「そうそう!強いのー!この熊さんーっ!」
「おい!その呼び名やめろ!」
そこでじゃれ出した二人を引き剥がし、フリックは自分の隣にを座らせた。
「危なかったって・・どういうことだ?」
その真剣な表情と声に、とビクトールが「しまった」という顔をした。
「あ・・えーと、ちょっと危なかった。の。」
「敵にやられそうになったのか?」
「そう。・・いや!そう。じゃなくて!ちょっと。危ないところを、ビクトールが助けてくれて!」
「そうだそうだ!俺が助けてやったんだぞ!」
「ビクトールが助けるくらいだ・・危険だったんだろう。」
急所を指してくるフリックに、二人はむぐむぐと口をごもらせた。
「でも・・・無傷だったんだもの・・・。いいでしょ・・?」
「そうだぞフリック!
これからもっと危なくなる。そんな事で一々文句言ってたらキリがねぇだろうが。」
「・・・・・・・・・・。」
酔いながらも、一生懸命訴えてくるにフリックが今度は口を紡いだ。
「フリックが心配してくれるのは嬉しいよ。でも、私だって常に誰かに守られながら戦うなんてイヤ。
きちんと自分の足で戦いたいの。」
「・・・・。」
一瞬の沈黙。
辺りは一時の勝利に傭兵達が飲んで騒いでいる。
その声や音が三人を包んだ。
いつもならこの沈黙を破るのは大抵ビクトールだ。
しかし、今日は違った。
「だからぁー!!分かりなさいよー!!!」
「うわ!!」
その沈黙を派手に破ったのは、だった。
はフリックの胸倉を掴み、長いすに座っていた相手を押し倒した。
フリックは椅子の上に倒され、その上にが攻め入る。
「分かりなさいよって言ってるでしょぉー!!」
「お〜お〜やれやれ。その分からず屋の青い・・ついでにケツも青いその若造に言ってやれ。」
「おいビクトール!止めないで何適当な事言ってるんだ!」
慌てて起き上がろうとするフリックを、信じられないくらいの力でが抑え込む。
普通酔うと力は無くなるだろう!と、心の叫びを誰に聞かれることもなく、
フリックはなすがままに横たわる。
「ねぇ熊さん。どうやったらこの若造に分からせる事が出来るのかなぁ。」
ジロリとフリックを睨んだまま、が呂律の回らない口で文句を言う。
その様子を楽しそうにビクトールを眺める。
「熊はやめろよ熊は。
・・・・・・・・・そうだなぁ。」
焦るフリックを尻目に、ビクトールはいつものニヤリ。という笑みをこぼした。
フリックは何かよからぬ事を言うのではないかと額に冷や汗を流す。
「キスの一つや二つでもしてやれば、大抵の男は言いなりだぞ?」
そのビクトールの楽しげな一言を最後に、酒場は一瞬にして静まり返った。
ある単語を聞き逃さなかった傭兵達が、視線を一斉にこちらへと向けていた。
「・・・・・・・・・・キス?」
の口からその単語が出ると、ざっと音を立てて一斉にへと視線が集中した。
当のは、何かを考えたような様子を見せると、
目の前にいるフリックへと視点を合わせた。
「・・・・おい?じょ、冗談だろ?」
額の冷や汗が増えるのを感じたフリックは、慌ててそこから再度起き上がろうとする。
しかし全く動かせる気配の無いを見て、変な期待を持ちながらも冗談じゃないと抵抗を試みる。
フリックへの顔に、の髪がかかった。
